Journal / Webサイト構築やシステム開発をご検討中の方へ
サイトリニューアル、何から始める? 一緒に考えてみましょう
「そろそろサイトをリニューアルしたいんです」。そう相談をいただくとき、そのすぐあとに続くのはたいてい「でも、何から始めればいいのか分からなくて」という一言です。
よく分かります。リニューアルは、新しく作るより難しいところがあります。ゼロから作るなら、まっさらな紙に描いていけばいい。でもリニューアルには、これまで積み上げてきた中身があり、慣れた運用があり、変えたくない部分と変えたい部分が混ざり合っています。どこから手をつけるかで、後の進めやすさがずいぶん変わります。
今日は、リニューアルを考え始めた方に向けて、私なら最初にどこから始めるか、という話を書いてみます。作り直しの技術的な話ではなく、その手前の「何から考えるか」の話です。
まず「作り直し」より「棚卸し」から
リニューアルというと、つい新しいデザインを探すところから始めたくなります。他社のかっこいいサイトを集めて、こんな雰囲気にしたい、と。気持ちはとても分かるのですが、私はここを最初にやると、たいてい後で戻ることになると感じています。
最初にやると効くのは、今あるサイトの棚卸しです。今のサイトに何のページがあって、どれがよく見られていて、どれがもう役目を終えているのか。問い合わせにつながっている入り口はどこか。逆に、作ったきり誰も見ていないページはどれか。
地味な作業ですが、ここを一度ちゃんと見ておくと、「全部を新しくしなきゃ」という思い込みがほどけます。実際には、残すべき資産と、この機会に手放していいものが、はっきり分かれてくる。リニューアルは、足すことと同じくらい、捨てることを決める作業でもあります。
「なぜ変えたいのか」を、一度言葉にしてみる
棚卸しと並んで大事なのが、「そもそも、なぜリニューアルしたいのか」を言葉にしてみることです。
これは意外と、口に出してみるまで自分でもはっきりしていないことがあります。デザインが古く見えるから、なのか。スマートフォンで見づらいから、なのか。自分で更新できなくて困っているから、なのか。問い合わせが減ってきたから、なのか。それとも、なんとなく古びてきた気がするから、なのか。
理由によって、やるべきことはまるで変わります。見た目が古いだけなら、中身はそのままにデザインを新しくすれば済むかもしれない。でも「自分で更新できない」が本当の悩みなら、いくら見た目を新しくしても解決しません。表に出ている不満と、本当の原因がずれていることは、けっこうあります。
私がお手伝いするときも、最初のうちは作る話をほとんどしません。「今、何にいちばん困っていますか」を、いろんな角度から聞きます。そこがずれたまま進めると、きれいになったけれど困りごとは残ったまま、という残念な結果になりやすいからです。
全部を一度に変えなくていい
リニューアルと聞くと、ある日いっせいに新しいサイトに切り替わる——そんな大がかりなイメージを持たれる方が多いです。もちろんそういう進め方もありますが、必ずしも全部を一度に変える必要はありません。
たとえば、いちばん困っている入り口のページだけ先に作り直す。更新できなくて困っているところだけ、先に仕組みを入れ替える。優先順位の高いところから順に手を入れて、少しずつ移していく。この進め方なら、一度に大きな費用と手間をかけずに済みますし、途中で「思っていたのと違った」と気づいても方向を直しやすい。
経験上、大きく作って一度にまるごと切り替えると、いざ何か起きたときに、どこが原因なのかを切り分けるのが難しくなります。逆に段階を分けておけば、つまずいてもその箇所だけを見て、立ち止まって対処できる。小さく分けて進めるのは、遠回りに見えて、実はつまずきに強いやり方です。
デザインより先に、中身と導線
新しいデザインは、リニューアルのいちばん楽しいところです。でも順番としては、私はできるだけ後ろに置きます。
先に決めておきたいのは、どんな内容を、どんな順番で、誰に届けたいかです。訪れた人に最初に何を伝えたいのか。どこを通って問い合わせにたどり着いてほしいのか。この骨組みが決まっていないと、デザインは「なんとなく良さそう」以上の判断ができません。逆に骨組みがはっきりしていれば、デザインは自然と決まっていきます。器は、盛るものが決まってから選ぶほうが、ちゃんと選べます。
見た目から入りたくなる気持ちをいったん抑えて、中身と導線を先に。これだけで、リニューアルの満足度はずいぶん変わると思います。
作り直すなら、次に引き継げる形に
もう一つ、これは作り手側の目線ですが、せっかく作り直すなら、次にまた誰かが引き継げる形にしておくことをおすすめします。
サイトは一度作って終わりではなく、この先も何年か使っていくものです。数年後にまた手を入れるとき、あるいは別の会社にお願いすることになったとき、中の構造が分かりやすく、データを渡せる形になっているか。ここが整っているかどうかで、次のリニューアルの負担が大きく変わります。今回きれいに整えておくことは、未来の自分への贈り物のようなものです。
私が作った後も長く保守を続けているのは、このあたりを最初にきちんとしておくと、後の付き合いがずっと楽になるからでもあります。
うれしい声が届くと、私も嬉しい
ときどき、少し時間をおいてから、うれしい報告をいただくことがあります。
「想定していた層の方や企業様から、お問い合わせをいただくことが増えてきました」。「社内でも、前より見やすくなったと評判がいいんです」。そういう声をいただくと、私も一緒になって嬉しくなります。作っている最中は、地味な判断を一つひとつ積み重ねていく作業なので、後からこうした声が返ってくると、あのときの判断は間違っていなかったんだ、と教えてもらえる気がします。この仕事を続けている理由の、けっこう大きな部分がここにあります。
そして面白いもので、こういう声が返ってくるリニューアルは、たいてい最初に「なぜ変えるのか」をちゃんと言葉にできていた案件です。目的がはっきりしていたから、成果も「問い合わせが増えた」「見やすくなった」と、具体的な形で表れる。冒頭で棚卸しと目的の話にこだわったのは、結局のところ、ここにつながるからなのだと思います。
ここまで書きましたが、リニューアルの正解は、そのサイトが何のためにあって、今どこに困っているかで変わります。決まった型があるわけではありません。
「うちの場合はどこから始めればいいだろう」と迷っている方がいれば、お問い合わせからお気軽にどうぞ。いきなり作り直す話ではなく、まず今の状況を一緒に棚卸しするところから、ご相談に乗ります。何から始めるかが見えるだけでも、ずいぶん気持ちが軽くなるものです。